【2】警察OB・男性(大分県)83歳

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二、改造空母「海鷹(うみたか)」との再会

○○に来て、本当に驚いたことがあります。
日出 暘谷城(ようこくじょう)の近くから眼下の別府湾岸を見下ろしたとき、一隻の軍艦が撃沈されていて、その残骸をサルベージ会社が解体していました。
なんとその軍艦の名前は「海鷹」というではありませんか。
あの三菱長崎造船所で豪華客船から航空母艦に改造され、夜中に出撃して行った思い出深い軍艦「海鷹」が、別府湾に沈んでいたのです。 聞くところによると「海鷹」は、他の改造空母と同様に南方方面への航空機輸送と船団護衛に従事し、多くの敵機・敵艦と死闘を繰り広げてきました。

昭和二十年に第一線を退き、特攻機や特殊潜航艇の標的艦として別府湾で訓練に励んでいましたが、七月に機雷に接触して座礁。その後には爆撃も受けて撃沈し、そのまま今日まで放棄されていたとのことでした。
考えてみると、「海鷹」は軍艦とはいえ前身は客船でした。
当時はベニヤ板に偽物の戦闘機を載せ、敵への脅し用にしていた改造船もあったと聞きます。「海鷹」も少々改造したといえども、本物の軍艦からみれば決して頼もしい船ではなかったと思われます。
「海鷹」と自分の足跡を重ね合わせ、運命共同体のような気持ちになりました。
お互い意に反して兵役には就いたものの、敗戦により何か大きな目標を失ってしまった。
その挫折した者同士が、久方ぶりに顔を合わせたかのようでした。

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